耳を千切れば

散文を羅列して置きます。

初めての口づけ(その参)*

あの日、がき大将が遠くに旅立った日

隣んちの幼なじみが何にも出来なかった日

俯くみよちゃんの頬を染めた涙と夕日


さとちゃんのグローブやガンダムのプラモデルまで

トラックに積み終わり引っ越し屋さんが吐く煙

空に吸い込まれる前に、雲に吸い込まれる前に

ただ立ち尽くす二人、小さな二人の恋の

時間は後少し

時間は後少し


玄関先から両親の声

最後の荷物を持ち出して

出発の時はすぐ迫る



がき大将はいつものように

軽く威張って、乱暴に「じゃあな」と言って、くちづけをした

みよちゃんとさとちゃんはくちづけをした



初めての恋心

どんな味でした?

大切な味ですか?

初めての恋心

忘れないいつまでもあのがき大将を