耳を千切れば

散文を羅列して置きます。

初めての口づけ(その弐)

図書室の窓際でみよちゃんはため息

みよちゃんの好きな人、ガキ大将のさとし君

「なんであんな奴に恋したの?」

他の皆は言うんだけれど、みよちゃんは

また違う意味で「ふー」ってため息漏らした。


男子は皆、あの日からみよちゃんの事を

「さとちゃんを負かした奴」

なんて呼ぶんだけれど

みよちゃんはそっぽを向いて

また、「ふー」ってため息漏らした。


みよちゃんのお母さんが

さとちゃんのお母さんと

仲が良くて

お父さんの転勤でさとちゃんは

来週転校するんだって、昨日聞かされて

みよちゃん、またまた「ふー」ってため息漏らした。


初めての口づけは

最後の口づけになった。

思い出になった。

初めての口づけは

どんな味でした。

涙の味ですか?


   (続く)